診察が始まる。
症状だとか、
今までに大きな病気をした事はないかとか
色々と聞かれた。
そして処置が始まる。
何か薬を吸入されているようだ。
タクシーで家に向かっていた夫も
私の連絡を受けて病院に到着した。
もう命の危険も無さそうだし、
夫がここに居ても特にすることも無いので、グズり始めた次男と早々に帰宅してもらう事にした。
診察結果。
「気道が腫れて狭くなっています。」
【クループ】って聞いたことありますか?と尋ねられた。
「あっはいはい。丸く薄く焼いた生地に生クリームとフルーツやチョコレートなんかをトッピングした、甘くて最高に美味しい食べ物ですよね?好きです。」
......
うそです。
この状況でボケられません...
本当はちゃんと【クループ】の事は知っていました。
「喘息のお薬をもらっていた時期に、
【クループ】かもしれないと言われた事があります。」と答えました。
先生によると、クループの症状としては、
これは「まあまあ強い」ものだそう。
「そうなんですか...息苦しそうには見えたんですけど、救急車を呼ぶかは少し悩んだんです。またこんな症状が出たら...その時も救急車で良いんですか?」と尋ねると、
先生は
「救急車で良いんです。また次も救急車を呼んで下さい。」と力強く頷きながらおっしゃられました。
ホッとしました。
救急車を呼ぶのって「勇気」がいるんだもん。
勘違いで重症だと思っているだけかも...
とためらってしまって。
そして先生はその場を離れたが
引き続き吸入を行いながら、
シロップのような飲み薬も渡された。
薬は点滴でもできるらしいけど、
飲めるなら口から飲んで欲しいというので、
長男は嫌がりながらも、頑張って飲んでいた。
少し口から出してしまったが、まぁほとんどは飲めたので良しとなった。
しばらく経って、吸入が終わる。
救急車が他にも到着していて先生も忙しそう。
診察室のベッドに長男と二人でしばらく待たされる。
診察室は恐ろしくクーラーが効いていて寒い。
体感温度18度。(←適当です)
寒そうな長男のためにバスタオルをもらってかける。
本当はわたしがかぶりたいが我慢。
でも死ぬほど寒い。
ここに来るまでに私も汗だくだったから、それが冷えて無茶苦茶寒かった。
もちろんリュックに羽織れる上着なんて準備していないのでただ我慢。
そういうの持って来れば良かったな〜と後悔。
【24:00】
先生が戻ってきて吸入が終わった長男の様子を見る。
さっきよりは呼吸が良くなっているが、呼吸のたびに音が鳴る状態はまだ続いている。
「安静にしているのに、これだけ鳴っているのは、症状としては結構酷い方ですよ...」と言われた。
さっきからの先生の発言によると、
今回の発作?は軽度では無いらしくて、救急車を呼ぶ判断は正しかったらしい。
その事にはホッとはしたけど、今後どうなるのかと不安になる。
先生「この状態だと、まだおうちに帰らせられる状況ではないんですね...」
私「はい。」
先生「入院とかってなると...どうですか?下のお子さんがいますよね?」
私「え...?えっと...入院となると...平日なので下の子をどうしたら良いか...」と戸惑う。
先生「引き続き様子をみるか...もう入院するかなんです。様子をみるにしても、結構長い時間見ないといけないんですが、どうしますか...」
たぶん、もう「入院」という事にして、入院のお部屋に入ってしまった方が良いですよって事なんだとは思うが...
即答出来なかった。
だって明日は平日で夫も仕事があるし、下の子をどうすれば良いのか...
「もうすこし様子をみて...の方向でお願いします。入院となると下の子の預け先が無いので夫に相談してみます。」と答えた。
「診察室」から「監察室」とかいう6人用の大部屋に移動した。
監察室には、他にもう一組の親子がいた。
「長時間様子をみるから、お子さんは寝てもらっても構いません。お母さんもお水とか飲んで少し休んで待っていて下さい。」と言われる。
ここで、少しホッとする時間が訪れる。
とはいえ、
子どもから離れる時は、看護師さんに声を掛けて私の代わりに見ててもらわないといけないのだが、救急の対応でドタバタ忙しそうな看護師さんに、私のトイレや水を買いに行くようなしょうもない用事の為に手をわずらわせるのも...と思うと我慢しようと思う。
もう、もう持ってきたペットボトルの水も残りわずか...。
ぁあ〜...
でもあるだけマシかも。
水持って来てて良かった〜。
夜中だけれど、
この部屋はとても明るい。
そして、やはり寒い。
そんな中でも、 長男は眠ってしまった。
起きていても呼吸するたびに痰が絡んだ音が鳴っていたが、寝ていても鳴るので、いびきにしか聞こえない(笑)
何度も看護師さんや先生が見にきてくれる。
先生「いつもこんな音(いびき)ですか?」
私「いつもは、いびきはかかないです!」
先生の指示で、 少し長男を起こして声を出させる。
私「お母さんって言ってみて」
長男「ぉガァさぁんん゛」
「喉潰したんか?」ってくらい
声が枯れている。
先生「やっぱりまだ戻ってませんね〜」
私「...」
先生「...」
この感じ...
めっちゃ入院する事になりそう...
ぇえ〜
下の子どうしたら良い〜?(泣)
先生はまた他の患者さんの診察に行ってしまった。
【深夜2:30】
まだずっと「様子をみる状態」が続いている。
長男は眠っている。
入院させたいが「次男」をどうしたら良いのか...ずっとソレばかり考えていた。
この部屋では「通話は禁止」なので
ずっとLINEで夫とやりとりをする。
だが、途中でLINEの既読がつかなくなる...
「あいつ寝落ちしたな...」
軽く怒りが湧きました。
そして、クループ について調べたりなんだしていると携帯の充電が残りわずかになってしまった。
充電器はあるから...と思っていたが、
監察室のコンセントには
「医療用」と大きく書かれている。
え?
こ、これって...
充電出来ないの...??
いや、そんなはずない...
出産で二度入院したけど、コンセントが使えないところなんて無かった。
どこかにあるはず!
ベッド周りを探したが、
コンセントは全て医療用とされて
「私用」を禁止されていた。
ままま
まさかの充電不可。
その後、
先生から「入院は避けられない」と告げられた。
夫に連絡を取りたいが、携帯の充電が少なくてコンセントを借りたいと言ってみるが、やはりこの部屋のコンセントを使うのは不可だと言われた。
院内に携帯充電専用の場所があるらしいが、今の時間帯はそれも使えないらしい。なんて不便な...
病院を出て、近所のコンビニで「電池付きの充電器」 を購入する方法を提案された...
そうか...
LINEを見ない夫に、残り少ないバッテリーを使って電話をしたらようやく出た。すぐに入院の事を伝えて、「あとはLINE読んで!」と伝えた。
夫によると明日一日くらいなら、なんとか出勤せずに自宅で仕事をするように切り替えるのは可能だそう。
しかし、入院がそれ以上長引いた場合、次男の世話を夫に頼るのはやはり厳しいらしい。
入院日数については全くの未定なので、何か手を打たないと...
やっぱり、実家の母を呼ぶしかないのかな...
それにしても、充電が....
充電器あんのに...
ふと、
リュックの中に携帯用のミニ扇風機が入ったままなのを思い出した...
アレってたしか...
ケーブルで携帯と繋げたら、
モバイルバッテリーみたいな使い方出来るって箱に書いてた様な...
(ケーブルを繋いでみる)
で...
出来たーーーーーー!!!!
今年に入って、
一番歓喜した瞬間だったと思う。(笑)
最近のメカ(言い方ダサすぎ)は、
色々とすんごいなっ。
充電100%とはいかないが半分以上は
チャーージ完了!!
【3:30】
夫とのやりとりで決まった事は、
このまま入院し、朝になったら自宅に戻り夫と交代。
夫が長男を見つつ、病室で仕事をする。
夜にまた交代して夫は次男と自宅で就寝。(私は病院に泊まる。)
もし、一日くらいですぐ退院出来そうなら、実家の母を呼ばなくても済むかもしれないが...もっと長引くなら実家の母を召喚!
念のため、実家の母には連絡をして
いつでも来れる様に準備をしておいてもらう。
そこまでは決まりました。
【4:00】
長男は再び起こされレントゲンを撮られる。いつでも点滴が出来る様に、針を腕に刺して準備をされる。
入院に必要な色々な書類を渡されるが、
ものすごい眠気で頭が回らなくなってきている。
電話番号やら住所の欄やらをめちゃくちゃ間違えながらなんとか記入。
【早朝5:00】
入院するお部屋の準備が出来たので、移動。個室を希望していたが空きがないので、大部屋で待機するように言われた。
(昼までには空くらしい)
4人部屋には、私達の他に
1歳くらいの赤ちゃんしかいなかった。
赤ちゃんには付き添いの方はいない。
だから、赤ちゃんは寂しいのかずっと泣いていた。
とても不憫に思えて...
私にある微量の母性が
「抱っこしてあげたいな...」なんて気持ちにさせる。
でも、
私が赤ちゃんの親なら
我が子を見ず知らずの人が勝手に抱っことか逆に嫌だよな...
なんて考えて、赤ちゃんにはただ「頑張れ」って思うだけにした。
長男は、そんな赤ちゃんの声に
「うるさいなぁ〜」とブツブツ言う。
「弟よりも小ちゃい赤ちゃんが、痛いよぉ〜って、しんどいよぉ〜って泣いてるねんで。そんなん言ったらあかん。頑張ってるねん。」と伝えた。
え?みたいな反応をして、
長男は「うるさい」と言うのをやめた。
【7:00】
子どもに朝食が運ばれてくる。
長男、なんと完食!
私の分はもちろん出ない。
売店に買いに行けば良いのだが、食欲がなく眠気の方が強いのでとにかく休む。
看護師さんが、「少しでも楽にして下さいね」とリクライニング出来る椅子を持ってきてくれた。有り難い!
椅子を倒して、目をつむる。
心音を聴きに来たり...
薬の吸入をしに来たり...
体を拭きに来てくれたり...
割とせわしなく出入りがあり、
一瞬うとうとしては起きてしまう。
そうそう、この病院は何故か、
「コンセント」にやたらと厳しい。
この大部屋でもやはりコンセントは使えなかった。
子どもの入院中、親はめっちゃ頻繁に外部と連絡を取る事になると思うのに、携帯の充電がすぐに出来ないのはかなりイタイ...
また、大部屋は付き添い者の飲食も
「お水」と「お茶」以外は不可。
それは納得だが...
子どもの病気が深刻な程、
付き添う親は病室から離れ難くなる。
入院に付き添う親は、
「睡眠」も「食事」も「精神力」も
すり減らしながら看病する事になる。
【11:00】
大部屋から個室に移動。
夫が病室で仕事をするため、個室を希望したのだけど...
それにしても、
なんという個室の快適さよ!
コンセントも使用出来る。
周りに気を使わずに音を出せる。
大部屋だとテレビはイヤホンで見るのだが、個室はもちろん要らないから良い。
子どもってあまりイヤホンが得意じゃないし。
付き添い者の飲食も自由。
売店なんかでささっと食料を調達すれば
子どものいる病室でゆっくり食べられる。
それに、何より人目を気にせずにダラッと出来るのが嬉しい。
大部屋は、基本カーテンを閉めるのは「禁止」で開けっ放しの丸見えだった。
ダラッと休みにくかった。
個室に移ったとたん、思う存分ダラッとした。(笑)
→つづく